『世界の終わりのいずこねこ』コミック版を読む
『世界の終わりのいずこねこ』は、西島大介氏の参加したインディーズ映画。
そのコミカライズ版が本書。
…というような説明をざっくりとするのが簡単なのだが、実際のところはいろいろと細かくて微妙にニュアンスの言い難い相違部分があって、
単なる「映画の漫画化」や「映画の原作コミック」というカテゴライズされるのはやはりちょっと違うと思う。
もともとは音楽制作も兼ねる竹内道宏監督と、西島氏が共同でストーリーを創作し、それを基に竹内氏が映画を、西島氏が漫画を制作した、という形になっていて、互いの作品は互いに関連を保ちつつ、別のものになっている、といった次第。
本書のあとがきにあたる『制作ノート』で西島氏自らが述べているように、この漫画と映画は『原作』とその『映画化』という繋がりではなく、”『2001年宇宙の旅』におけるクラークとキューブリックの関係”というのがやはりもっとも適した例えになるのでしょう。
と、書いて理解できるのって、やっぱSFマニアとかしかいないのかなあ。まあ、西島大介氏もハヤカワのSF書籍関連ではけっこう仕事も多いし、この漫画の中でも「上帝(オーバーロード)」とか「上霊(オーバーマインド)」とかマニア心なアイコンがちりばめられたりしてるんですけど。
でも、ポップな味わいの映画と違って、この漫画版はちょっとだけセンチメンタルだったり。
実は自分は西島氏のコミックを読むのは初めてだったんですが、見た目の雰囲気とは違って語り口調は妙に『ガロ』のような寂寥感(という言い方が適当とは思えないんだけど)があったり…と、ちょっと目からウロコな印象でした。
本音としては、以前から西島大介氏の作品には関心があって、読んでみたいなァとずっと思ってたので、『いずこねこ』はいい機会になったかな、と。
これからもっと西島作品はチェックしてみようと思います。
東京での劇場公開時にこの原画等を展示するイベントが都内で開催されていたので、そこに行ってみました。
場所は秋葉原の隣、浅草橋駅近くの「パラボリカ・ビス」というギャラリー。
サイトを拝見すると、どうやらペヨトル工房が運営してるところのようです。
(と書いてて念のため検索してみたところ、出版社としてのペヨトル工房は現在は解散してしまっているとのこと。ここは関連団体のようです)
原画はテーブルに陳列。壁には描き下ろしカンバス絵。
原画を見ることでわかったのは、西島氏は(少なくともこの『いずこねこ』に関しては)原稿は原寸の画稿用紙で描いていて、見開きのページは投稿用を横に使っているということ。
たいていの場合、見開きページは倍の大きさの紙を使うか画稿用紙を繋げて描くかするものだと思うので、この使用法は意外でした。
中には原画だけではなく、設定のラフスケッチやプロット帳なども。
この作品の構想の過程がわかるような展示。
映画のほうに出演もしている西島氏。たまたまtwitterでこの映画の感想でやりとりする機会があり、ご本人は謙遜しておられましたが、なかなかいい味のある演技をしてましたよ。
『世界の終わりのいずこねこ』は、今年になって最初に気になる作品となりました。映画も、漫画も。
[映画版についてはいずれまたの機会に]
世界の終わりのいずこねこ
西島 大介
THE END OF THE WORLD AND THE CAT’S DISAPPEARANCE (世界の終わりのいずこねこ)
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